お葬式をつくり上げる
ご葬儀を終えられ、お客様のご自宅へ後祭壇を飾りに行った時のことを、今でも忘れることができません。大切な奥様を亡くされた旦那様の悲しいお顔が、目に焼きついております。区切りとか、お気持ちの整理とか、ひとつも言葉をかけられない状態で、涙が止まりませんでした。
これまで、多くのご葬儀を経験し、携わらせていただき、お葬式は辛く悲しいだけでなく、とても尊い事だと分かりました。式の中では、故人様が唯一無二の人生を終えられたことに対する感動と感謝、そして労いの想いがいつも存在すると知りました。
私自身、幼い頃に母を事故で亡くし、「死」というものを身近に感じて育ちました。死がもたらす辛さ、悲しみが人々を苦しめることを実感したからこそ、故人様と残されたご家族様のお手伝いをしたいと、この仕事を志しました。
お客様と接する時は、心を綺麗に、シンプルに保つよう心の自己管理を心がけています。そこに真心が無いと、どんな言葉や態度も見せかけになってしまい、お相手にも伝わってしまいます。反対に、真心が言葉や行動に表れれば、お客様は無意識にでも感じ取っていただけます。
「故人も喜んでいると思います」とお客様からお言葉をかけていただいた時、ご家族様が故人様の身になって感じ、お考えいただいたことが大変嬉しいと感じました。
ご葬儀の際には、できるだけご家族様とお話をさせていただき、お気持ちやお話、思い出などを詳しくうかがっております。セレモニーを担当させていただく私たちスタッフが、故人様の唯一無二の人生を少しでも理解し、安心してお任せいただけるよう、日々努めております。
故人様もご会葬者も、皆様十人十色の考え、望み、性格などをお持ちです。私たちスタッフはそれを洞察して少しでも理解し、その方にとって適切で最良のお言葉と行動を取れるように考えながら対応しております。そして、個々の故人様にとって、唯一無二の人生の感謝のお式をつくり上げ、送りだしてまいりたいと思います。