お客様のことを最大限に考える。
あるご葬儀でのエピソードです。
お子様のいないご夫婦でした。夫婦で細々と年金で生活をされていた中、奥様が先立たれ、おひとり残されたご主人様が喪主を務めご葬儀の準備を行いました。祭壇を飾るお花の予算を工面できないと言うご主人様に提案をさせていただいたのが、奥様がお好きだった踊りの扇子をお借りし、たくさんの扇子で祭壇を飾った「花祭壇」ならぬ「扇子祭壇」。
ご主人様からは、「妻らしいすばらしい祭壇だった」と涙ながらにお言葉をいただけました。
私は、自身の祖父の葬儀の際に初めて『葬儀屋さん』という仕事を知りました。大好きだった祖父を送ってくださった『葬儀屋さん』にとても影響を受け、私自身も大切な方を亡くされた方のお世話をしたいと強く思いこの業界に入りました。
亡くなられてから火葬をされるまでの時間は限られております。その限られた時間の中で私たち葬儀スタッフは、自身が故人様・ご葬家様にできる最大限の事を考え実行する。できる限り丁寧に説明する。喪主様だけでなくご親戚・隣組の皆さん・参列者の皆さんすべての人への対応を丁寧に行う。私が1件のご葬家様を担当させていただく際に気をつけていることです。
面倒だとおもったら最後です。お客様のために時間を使い、お客様のことを最大限に考える。少しでも故人様らしいことを取り入れたご葬儀ができるよう工夫します。打ち合わせの際に、故人様のお人柄を伺い参列された方々からも『故人様らしい葬儀だった』と言っていただけるよう『○○と同じ』がないよう心掛けています。
そして、誰よりもゆっくりと話し、誤解を招かない様・説明不足にならない様言葉を選びながら目を見て話す。当たり前の事ですが、お客様からは『聞きやすく丁寧ですね。』とお言葉をいただくことが多く、伝わっている事が嬉しく、その後もより丁寧になれる気がします。
私は「葬儀」という仕事に長く携わるうえで、葬儀の形には沢山の宗教が存在し、深く関係していることを実感しました。お客様によっては、宗教を気にされない方もいらっしゃいますが、私たち葬儀業界の者はこの宗教のいわれやしきたり、知識などはお客様に伝えられるようにしていなければなりません。そして、古きを知りつつ常にアンテナを広げ、時代に合わせた葬送儀礼の提案ができる様に務めて行きたいです。